2009年
もみじの名刹 永観堂の秋の寺宝展が、
12月6日まで公開されています。
今回は、寺宝展で6年ぶりに展示される重要文化財「阿弥陀二十五菩薩来図」
「十界図」など76点を特別公開されています。
今回のテーマは、
“臨終の際に阿弥陀さまが浄土へ迎えにくる「来迎」”だそうです。
寺宝展の期間中に、永観堂を拝観する機会に恵まれました。
もみじの名刹永観堂の重要文化財や寺宝を
紅葉の色づく季節に見せて頂くことができました。
善導大師像の掛け軸などもあり、開かれた口からほとけさまが出ていました。
このような他にはあまりみないような表現も
しみじみ深みがあり、もっと色々知りたいと思えるような寺宝の数々でした。
【 阿弥陀二十五菩薩来迎図 伝恵心僧都筆 】 (重要文化財)
二十五の菩薩が立って楽器を奏でておられます。
平等院の雲中供養菩薩も、雲にのって楽器を奏でておられますが
こちらは、直立に近い姿勢で立っておられ
画面の余白はほとんどないのではないかと思えるぐらいに
ぎっしりおられるので緊張感のようなものをもちました。
【 十界図 】
十界図は二幅から成り、地獄や餓鬼の世界が克明に描かれています。
こちらも珍しく思ったのは、真ん中に地蔵菩薩のように見える方が座っておられ
馴染みのあるものとはまた違いました。
機会があれば、この構成されている絵柄を理解してみたいと思いました。
【 板着色二十五菩薩来迎図絵扉 】 (重要文化財)
厨子の扉に、二十五菩薩が描かれたものです。
ガラスケースに、板の状態にされて展示されていました。
説明書きでは、全部の展示をとの計画のところ
傷みの大きい2枚は展示の断念となったとのこと。
展示されているものも擦れている部分もありましたが
菩薩様が、細かい衣の文様も截金で
とても細い繊細な表現されており素晴らしく見事でした。
これほど素晴らしい厨子は、どんな形をしていたのか気になります。
【 紙本淡彩釈迦三尊像 狩野元信筆 】 (重要文化財)
こちらも珍しいものでした。
真ん中に釈迦如来、右に文殊菩薩、左に普賢菩薩ですが、
どの方も大きく頭光が描かれており
左右の方は人間っぽく髪も長く伸ばしておられました。
墨で描かれ、落ち着いた淡い彩色をつけられています。
しみじみしたあじを感じました。
【 紙本墨画波濤図 長谷川等伯筆 】 (重要文化財)
庭・廊下に渡る部分の天井近くに掲げてありました。
雲のような背景が金を貼られているようで
違和感なく岩波が墨で渋く、勢いよく描かれていて
他にあまりみたことのない取り合わせの絵でした。
金と墨との組み合わせが渋くいい感じになっています。
永観堂の拝観日記は、また後日掲載させて頂くことにして
日本画家による障壁画を展示してあった画仙堂の観想などを
記してみようと思います。
入り口を入ると、真正面 奥に
日本画家・関口雄揮画伯の障壁画「浄土変相図」が壁面を飾っています。
写真でも少しご覧頂けると思いますが、
堂内の真正面 奥には、
金の背景に、燃えるような赤の山々。
圧倒されるような迫力がありますが、その左右にあるのは
青系統の障壁画で見ているうちにその世界に吸い込まれていくような
真ん中の金と赤の迫力に負けない上品で素晴らしいものでした。
また見たり、どういう意味合いがあるのかが
もっともっと知りたいと思いました。
今回の秋の寺宝展のチラシの説明では、
「見るものを今浄土へやすらかに誘う。」と書かれていました。
障壁画の描かれた世界に吸い込まれた感覚を感じた静かな感じが、
浄土というものなのかもしれないと思いました。
「日本画もやっぱりいいな。」と心から思います。
関口画伯は、永観堂釈迦堂襖絵「二河白道図水火の絵」や
「菩提樹・沙羅双樹」を奉納されているそうです。
永観堂 禅林寺2009年 9月に京都国立近代美術館に行った時に、美術館の窓から見える山の中にお寺がとても気になっていました。 それが、最近気になる存在のみかえり阿弥陀の永観堂と知り寺宝展もあるとのことで拝観する機会に恵まれました。[…]