お寺・神社・博物館・美術館にて【法輪堂の拝観日記】

『琳派 京を彩る』展  レポート【京都国立博物館】

琳派誕生四〇〇年記念 特別展覧会
琳派 京を彩る

2015年10月10日(土)~11月23日(月・祝)
京都国立博物館

琳派展。行く予定が遅くなり、気がつけば会期が終わってしまうと気がつきギリギリ終盤に行って来ました。

“俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一の「風神雷神図屏風」の3対が揃って展示される期間(2015/10/27~11/8)があった”とテレビの特集で知ったのですが、これは間に合いませんでした。

琳派誕生400年を記念して、7つの章を設けて琳派の系譜とその魅力を紹介。 

第1章 光悦 琳派誕生
第2章 光悦と宗達 書と料紙の交響
第3章 宗達と俵屋工房
第4章 かたちを受け継ぐ
第5章 光琳 琳派爛漫
第6章 くらしを彩る
第7章 光琳の後継者たち 琳派転生

“琳派”とは?

「琳派とは、江戸時代に現れた装飾的な作風を特色とする、俵屋宗達、尾形光琳・乾山、酒井抱一といった芸術家の一群をゆるやかにつなぐ言葉」


俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一といった琳派を代表する芸術家たちに、直接の師弟関係はないそうです。

しかし

「異なる個性を持った者たちが、先達の作品に触れ、憧れ、模写を介して自らその流れに加わっている」
「流派、または美術家・工芸家らやその作品を指す名称」

のだそうです。

琳派誕生の地である京都において初めて開催される本格的な琳派展です。

京都国立博物館
琳派展 只今の待ち時間 20分の看板

第1章 光悦 琳派誕生

京に琳派の創始者・“本阿弥光悦”が生まれました。
京都は分業製作を総括するアート・ディレクターとしての光悦の素地を育みました。

重文【薙刀直刀 無銘(名物 骨喰藤四郎】

鎌倉時代
京都・豊国神社

重文【光徳刀絵図】

桃山時代
石川県県立美術館

重文【立正安国論】本阿弥光悦筆

京都・妙蓮寺

重文【紫紙金字法華経】【花唐草螺鈿経箱 本阿弥光悦作】【本阿弥光悦寄進状】

京都・本法寺

重文【郡鹿蒔絵螺鈿笛筒】本阿弥光悦作

江戸時代
奈良・大和文華館

国宝【舟橋蒔絵硯箱】本阿弥光悦作

江戸時代
東京国立博物館

重文【黒楽茶碗 銘 雨雲】本阿弥光悦作

江戸時代
東京・三井記念美術館

重文【赤楽茶碗 銘 乙御前】本阿弥光悦作

重文【赤楽茶碗 加賀光悦】本阿弥光悦作 

京都・相国寺

第2章 光悦と宗達 書と料紙の交響

光悦は、諸芸と秀でて、名高いのは書家としての活動。光悦は金銀泥で華麗な下絵を描いた料紙に和歌をしたためた。料紙を描いたのが俵屋宗達。琳派デザインの源。

国宝【平家納経 願文・化城喩品・嘱累品・表紙・見返絵】

俵屋宗達筆
桃山時代
広島・厳島神社
神代から神武天皇を経て持統天皇(697年退位)の時代までの出来事を編年体で記す『日本書紀』。中国で歴代王朝ごとに作成されていた正史にならい、わが国で最初に編纂された国史。

重文【鶴下絵三十六歌仙和歌巻】

本阿弥光悦筆・俵屋宗達画 
桃山時代
京都国立博物館

第3章 宗達と俵屋工房

宗達画の根幹をなしていたのは「やまと絵」と呼ばれる。扇面のように手元で親しく鑑賞できる絵画から、杉戸絵や襖絵のように大きな建具まで、宗達と俵屋工房は仕事の幅を広げていきました。

重文【扇面貼交屏風】

俵屋宗達筆
江戸時代
広島・醍醐寺
神代から神武天皇を経て持統天皇(697年退位)の時代までの出来事を編年体で記す『日本書紀』。中国で歴代王朝ごとに作成されていた正史にならい、わが国で最初に編纂された国史。

重文【西行物語絵巻 巻第四】

俵屋宗達筆
江戸時代
東京・出光美術館

国宝【蓮池水禽図】

俵屋宗達筆
江戸時代
京都国立博物館

重文【牛図】

俵屋宗達筆・烏丸光広賛
江戸時代
京都・丁妙寺

重文【唐獅子図杉戸絵】

俵屋宗達筆
江戸時代
京都・養源院

重文【舞楽図屏風】

俵屋宗達筆
江戸時代
京都・醍醐寺

重文【関屋図屏風】

俵屋宗達筆・烏丸光広賛
江戸時代
東京国立博物館

重文【蔦の細道図屏風】

俵屋宗達筆・烏丸光広賛
江戸時代
京都・相国寺

重文【秋草図屏風】

俵屋宗雪筆
江戸時代
東京国立博物館

重文【菊簾図屏風】 

江戸時代
京都国立博物館

重文【色絵芥子文茶壺】

野々村仁清作
江戸時代
東京・出光美術館

第4章 かたちを受け継ぐⅠ

直接の師弟関係を持たず世代を超えて受け継がれてきた“琳派の流れ”は「模写」という行為が琳派に加わることの意思表示。

国宝【風神雷神図屏風】

俵屋宗達筆
江戸時代
京都・建仁寺

重文【風神雷神図屏風】

尾形光琳筆
江戸時代
東京国立博物館

【風神雷神図屏風】

酒井抱一筆
江戸時代
京都・出光美術館

重文【夏秋草図屏風】

酒井抱一筆
江戸時代
東京国立博物館

重文【三十六歌仙図屏風】

尾形光琳筆
江戸時代
愛知・メナード美術館

重文【小西家伝来尾形光琳関係資料のうち歌仙図画稿】

尾形光琳筆
江戸時代
京都国立博物館

第5章 光琳 琳派爛漫

琳派誕生からおよそ100年後に京で壮年期を過ごした“尾形光琳”。光悦とも縁戚関係にあった緒方家。光琳は40歳を前に絵画と漆芸に自活の道を見出します。

重文【竹梅図屏風】

尾形光琳筆
江戸時代
東京国立博物館

第6章 くらしを彩る

金工・漆芸・陶芸といった、くらしを彩る工芸品との繋がりの深さ。
工芸意匠-琳派デザイン-は、出版というメディアによって拡散され、さらに広い階層の人々の暮らしを飾っていった。琳派は高級品を享受する人々が居住し、作りだす職人たちが集住する京で誕生。創り出した工芸意匠「琳派デザイン」は、出版というメディアによって拡散され広く人々の暮らしを飾っていった。

国宝【八橋蒔絵螺鈿硯箱】

尾形光琳筆
江戸時代
東京国立博物館

重文【秋草文様小袖】

尾形光琳画
江戸時代
東京国立博物館
密教法具・寺院仏具・仏像販売【稲田法輪堂】

琳派香皿 真鍮製の香皿にエッチング技術にて絵柄を入れた後、鮮やかな色を垂らしこむことによって 琳派特有の大胆で鮮烈な色合…

第7章 光琳の後継者たち 琳派転生

光悦自ら後継者を育てることはありませんでしたが、没後その画風を慕って京都では深江芦舟や渡辺始興、大坂では中村芳中、江戸では立林荷舁、酒井抱一、鈴木其一らが活躍。江戸の地に転生することによって新たな広がりを見せていく琳派の姿を追う。

重文【草花図屏風】

深江芦舟筆
江戸時代

重文【蔦の細道図屏風】

深江芦舟筆
江戸時代
東京国立博物館

重文【梅樹下草文様小袖】

酒井抱一筆
江戸時代
千葉・国立歴史民俗博物館

琳派展の感想

この拝観日記をまとめることにより琳派の謎がとけてきて、作風を慕い“模写”ということで派に加わっていくという現象のような自然な流れで出来上がった琳派という魅力に触れることができました。

13mを超える光悦・宗達の共同制作「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」。この迫力は圧倒される素晴らしいものでした。

次々続く展示物も“これぞ日本美”というものが並び、蒔絵・螺鈿も「これでもか!」というものでした。そして、絵を描く場所で使う道具がすでに美術品レベルが並びます。という感想のものは彩鮮やかなものが多いのですが、一番息をのんだのが“墨絵”の俵屋宗達の国宝【蓮池水禽図】。「たらし込み」による墨のにじみによる表現。絶品でした。

琳派の作品を堪能させて頂きました。ありがとうございました。

京都国立博物館 公式キャラクター「トラりん」

”+“琳派”で「トラりん」

尾形光琳の「竹虎図」をモチーフにした
公式キャラクター「トラりん」。
本名は“虎形琳ノ丞(こがたりんのじょう)”。

琳派展開催中の土・日・祝は、「トラりん」が登場。

「トラりん」が入館前の行列のところにやってきました。

と写真を撮った瞬間、

これ、写真をカットして加工していません!
「トラりん」の方から急に近づいてアップに映ってくれたのです。

なかなかの茶目っ気のある「トラりん」で

後ろを付いて歩いていた男の子は、こんな技をかけられてしまいました。
サービス満点。

一気に一帯の空気がなごみ、キャラクターのパワーはスゴイと思いました。
キャラクターにしてはキリッとした目がポイントです。

京都国立博物館PR大使なので名刺を頂けました。
facebook・twitterもやってるようです。

2015年 京都駅 クリスマスツリー

京都国立博物館の概要と年間の主だった展示企画、イベント等をお伝えしています。…

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