お寺・神社・博物館・美術館にて【法輪堂の拝観日記】

「仏教美術のいきものがたり」展 レポート【龍谷ミュージアム 】

シリーズ展3
「仏教の思想と文化-インドから日本へ-」
特集展示
仏教美術のいきものがたり

龍谷ミュージアム
2019年1月9日(水)~2月11日(月・祝)
2019年2月16日(土)~3月24日(日)

「ほとけや神に寄り添っている“いきもの”という特別展がある」ということで京都・龍谷ミュージアムに行って来ました。

シリーズ展では、
インドで誕生した仏教がアジア全域に広まり、日本の社会にも根づいていく約2500年の歩みを、大きく「アジアの仏教」と「日本の仏教」に分けて紹介しています。

今回の特別展示では、
“仏教説話に登場する鳥獣”や“ほとけや神が従える鳥獣”、そして“仏教建築に表される鳥獣”を取り上げます。

普段は仏や菩薩の美しい造形に目を奪われますが、今回は少し視点をかえて、ほとけや神々にぴったりと寄り添ういきものたちを鑑賞してみませんか?仏教世界を彩る「いきものがたり」をのぞいてみましょう。

また、特別陳列として
日本画家・野生司香雪氏(1885~1973)による連作絵画「釈尊絵伝」を展示します。1917年アジャンター石窟壁画の模写事業に参画、後の1936年にはインド初転法輪寺に釈尊一代記の大壁画を完成させました。

さぁ、エレベーターで
まずはシリーズ展の会場に行きましょう。

第1部 アジアの仏教(2階展示室)

インドで仏教が誕生し、アジア全域に広まる
・仏教の誕生・・・釈尊(ガウタマ・ブッダ)の生涯とその教え
・仏教の広がり・・・インドから中央アジア、東南アジア、東アジア
・多様な仏教・・・出家修行者と在家信者が織りなす仏教世界

第1章 仏教とは
第2章 釈尊の教えとその継承
第3章 大乗仏教とガンダーラ・西域
第4章 中国の仏教

ガンダーラなどの2世紀の仏像からあり、展示物だけでなく仏教・テーマについての解説もとても分かりやすい文章で大変興味深い内容で「全部覚えて帰りたい」と長い時間読みながら観せて頂きました。

アショーカ王碑文拓本 石柱法勅第4章

ラウリヤ・ナンダンガル 
前3世紀 紙拓本 1枚 
龍谷大学 大谷探検隊
まず“刻まれていた文章”です。
どこまで救いの手を差し伸べられた視野があるのかと思いながら読みました。

そして“大谷探検隊のエピソード”で
用意していたインクと紙でするしかなかったということで、どれだけの想像できないまさに探検の中での発見であり、貴重な資料を目にさせてもらっているのかと感動しました。

特別陳列 「釈尊絵伝」

野生司香雪(のうす こうせつ) 1885~1973

明治17(1884)年、香川県生まれ。
東京芸術大学日本画科卒業。
仏教美術研究のためインドにわたり、あまねく仏教史跡を訪れる。
アジャンタの壁画模写、初転法輪寺(インド・ベナレス郊外サルナート)にインド政府の依頼により釈尊一代の壁画を揮毫。

「釈尊絵伝」

釈尊の一代記「釈尊絵伝」7枚
  • 託胎(たくたい)
  • 降誕(ごうたん)
  • 出城(しゅつじょう)
  • 牧女の供養(もくにょのくよう)
  • 転法輪(てんぽうりん)
  • 涅槃(ねはん)
色がとてもやさしいのですが、輪郭を描いた色とラインもまたとてもやさしくて、「これは原画でないとあじわえなかったかな」と思います。やわらかさのある魅力的な仏画でした。

第2部 日本の仏教(3階展示室)

日本へ仏教が伝来し、日本社会に根付く
・仏教伝来・・・伝来にかかわる史実と伝承
・国家と仏教・・・国家政策としての仏教導入と貴族社会への浸透
・仏教文化の円熟と日本的展開・・・日本国内での仏教の歩みと新たに醸成され、幅広い階層に受け入れられていった仏教の諸相

第1章 仏教伝来
第2章 国家と仏教
第3章 仏教文化の円熟と日本的展開
浄土教の展開
浄土真宗

特別展示 仏教美術のいきものがたり(3階展示室)

「仏教説話に登場する鳥獣」や「ほとけや神が従える鳥獣」、そして「仏教建築にあらわされる鳥獣」を取り上げます。普段は仏や菩薩の美しい造形に目を奪われますが、ほとけや神々にぴったりと寄り添ういきものたちを鑑賞してみませんか?

仏教の世界観
仏教説話に登場するいきもの
ほとけや神に寄り添ういきもの

ピックアップされた展示を“いきもの”に注目して観ると、こんなにたくさんの種類の“いきもの”が寄り添っていることを再確認し、共に生きていることにジーンとしました。いままで見てきた像や絵にほとけや神のそばに“いきもの”がいるのを当たり前のように見ていたのだなと。それだけ“いきもの”がいつもそばにいることに気づくことになったのでした。

五趣生死輪図

掛け軸ですが、鬼がお腹の前に持っている円形の中に五等分に区切られて各界が描かれているお子さんも何が描いてあるのか見たくなるようなわかりやすいユーモラスな図でした。
 
五輻の車輪形の中に五道(地獄,餓鬼,畜生,人間,天上)の相を描き、輪廻の思想を示したもの

仏伝浮彫「愛馬との別れ・衣服交換」
仏伝浮彫「酔象調伏」

ガンダーラ 2~3世紀 片岩 1面
たぶんスピーカーぐらいのそんなに大きくないのに、人が馬、象とふれて相互の感情が伝わってくるかのよう。こんなに人は“いきもの”と共に生きてきているのかと、\ぴったり寄り添うどうぶつたち/
という言葉が重なり胸がいっぱいになりました。

シアター上映「伝えゆくもの ~西本願寺の障壁画~」

シアターにて
「伝えゆくもの ~西本願寺の障壁画~」を観せて頂きました。

本願寺の虎之間は、顔料の剥落・退色が著しく障壁画が確認できなくなっていました。調査をされている様子や原本を写し取る様子などとてもわかりやすく説明されていて何も見えなかった壁が、復元模写画によって28匹の虎や豹がいる竹林があらわれ虎之間がよみがえった様子に感動しました。まるで虎や豹に囲まれた中にいるようで楽しさを感じる部屋があったのですね。復元作業のようすがとても興味深く良いものを見せて頂きました。

ミュージアムシアターでは、
・「よみがえる幻の大回廊 ~ベゼクリク石窟~」
・「お釈迦さんワールド紙芝居『シッダールタさんの人生』」
という上映もあるようです。

特別展は、3月24日まで。

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