お寺・神社・博物館・美術館にて【法輪堂の拝観日記】

平城遷都1300年記念『大遣唐使展』【奈良国立博物館】

「平城遷都1300年記念 大遣唐使展」

2010年4月3日(土)~6月20日(日)
奈良国立博物館 東新館、本館

奈良国立博物館の
「平城遷都1300年記念 大遣唐使展」に
奈良へと出掛けました。

平城遷都1300年記念 大遣唐使展

第一部 波濤を越えた日中交流
第二部 国際都市長安と唐代宮廷文化
第三部 ドキュメント遣唐使<第一期=7世紀>
(1)日出づる国からの使者―遣隋使と大唐帝国の登場
(2)大国に学べ―第1~7次遣唐使
(3)白村江以降 空白の30年―半島情勢の転回と日本
第四部 ドキュメント遣唐使<第二期=8世紀>
(1)万葉の歌人、海を渡る―第8次遣唐使
(2)三人の天才、それぞれの運命(阿倍仲麻呂・吉備真備・玄昉)―第9・10次遣唐使
(3)大仏造立と遣唐使
(4)鑑真・清河・異国の土となる―第12・13次遣唐使
(5)使節拝命は名誉か、災難か―第16次遣唐使
第五部 正倉院の時代 宝物の源流と奈良朝の工芸品
第六部 外交の舞台 アジアの秩序と諸国間の関係
第七部 ドキュメント遣唐使<第三期=9世紀>
(1)最澄・空海、求法の旅―第18次遣唐使
(2)最後の使節団と留学生―第19次遣唐使
(3)遣唐使の停止とその後の日中関係

山上憶良、吉備真備、最澄、空海・・・・・本展では彼らゆかりの品をまじえ、遣唐使たちが駆け抜けた時代の熱気を今によみがえらせる、貴重な文化財の数々を展示します。
日中両国を代表する二つの観音像の共演、吉備真備の唐での活躍を描いた「吉備大臣入唐絵巻」の久々の里帰り、空海がもたらした密教工芸の至宝の出陳、京都・安祥寺の本尊「十一面観音像」の初公開・・・・など、見どころは満載です。

ペンシルバニア大学博物館「観音菩薩立像」と「国宝 聖観音菩薩立像」

まず、ペンシルバニア大学博物館の「観音菩薩立像」とその横に「国宝 聖観音菩薩立像」が並んでおられます。左右を見比べて鑑賞できます。

目が釘付けになったのが、衣の下の足が透けて見えているように薄く柔らかい衣を表現されています。装飾の玉飾りの場所、デザインは双方の観音様は異なりますが、ついている場所・長さが絶妙で菩薩様の世界に惹き込まれるようでした。

左【ペンシルバニア大学博物館 観音菩薩立像】
・右【国宝 聖観音菩薩立像】(薬師寺)

井真成の墓誌

和同開珎があり日本から中国の唐に渡り、現地で没した「井真成の墓誌」がありました。36歳にして(唐で)急逝したことに心痛めた皇帝の詔により葬礼が営まれたと書かれています。

遣唐使として唐に渡り、無事帰国し活躍した人がおられるのと同時に、唐で亡くなった人ががおられたことを大遣唐使展のはじめで知った上で足を進めることとなります。

国宝 諸尊仏龕

金剛峯寺の「国宝 諸尊仏龕」(唐)。
空海請来と伝えられている白檀で左右開閉できる扉を開いた中に、二十五体の尊像などが彫り出されています。懐中仏のようですが、重なり合い並んでおられるので仏様の世界が凝縮というか一瞬にして惹かれました。

小金銅仏の「菩薩半跏像」(唐)

小金銅仏の「菩薩半跏像」(唐)は、向かって左斜め下に首を傾けておられるお顔の表情がおもむきがあったのと、しまった身体で思いっきり腰がキュッとしまっているので強烈なインパクトがあり、金色とともにお姿を今もリアルに思い浮かべることが出来ます。

「照夜白図」

唐の皇帝・玄宗の愛馬“照夜白”を画家の韓幹が描いた「照夜白図」は、馬を描いたのはどんな筆か想像できない、今で例えるならばパステルやコンテの絵のような水墨の濃淡が素晴らしいラインで描かれています。馬の絵の周りにはたくさんの様々な印鑑が押されています。

「春日神・住吉神像」

遣唐使船には“住吉神”を祭祀されていたそうで、「春日神・住吉神像」の掛け軸と「春日神坐像」(木造)の展示がありました。旅の無事を祈り託した姿の人々を感じることが出来ました。
吉備大臣入唐絵巻

【吉備大臣入唐絵巻】

― 展示物も後半になってきました。

「伝行賀坐像(法相六祖像)」

ガラスケースの一番端の木造の像の説明書きに一気に親しみを感じた「伝行賀坐像(法相六祖像)」。像は、柄香炉を手に執り、左脚を立て膝にしている。運慶の師父・“康慶”らが制作したのだそうです。

「興福寺僧・行賀は、帰国後に問答した際に日本語を忘れていて返答できず悔し涙した」のだそうです。異なる言葉で、新たな知識を得て解釈しながらの生活。「日本語を忘れるほど、集中・夢中で臨まなければ役目を果たすことができない難しいことだった」と察っし共感しました。

しかし、行賀は、さぞ悔しかったでしょう。

第五部 正倉院の時代 宝物の源流

第五部 正倉院の時代 宝物の源流

紅牙撥鏤尺

何か、見たことのある、馴染みある紅い物がありました象牙の紅色の「紅牙撥鏤尺」。そうです。正倉院展で見せて頂いた正倉院にある「紅牙撥鏤尺」とよく似ています。この展示場所を確認すると「第五部 正倉院の時代 宝物の源流」。他にも、正倉院の宝物と似ている展示の数々で壁には正倉院蔵の展示物と似ている工芸品の写真展示がありました。

源流は、
この唐時代の展示されている工芸品にあり遣唐使と正倉院の宝物のつながりを感じることができます。

今まで本や資料を通して何度も目にしていた実物に出会え、心が震えた展示物がありました。
国宝 金銅密教法具

空海の請来品の雲の付いた五鈷杵と雲の付いていない五鈷鈴そして金剛盤。『弘法大師請来目録』の「五宝五鈷金剛杵」「五宝五鈷鈴」「金銅盤子」に該当すると考えられるものだそうです。杵と鈴には舎利が奉籠されていたといわれています。

「国宝 錫杖頭」(善通寺)

“空海”が父佐伯善通の菩提を弔うために建立したとされる“善通寺”に伝来する錫杖の頭部で、寺伝では空海の請来品とされています。錫杖頭に“来迎印の阿弥陀如来立像”と“脇侍菩薩像”、“四天王のうち二軀”、“定印の阿弥陀如来坐像”と“脇侍菩薩像”、“四天王のうち二軀”仏像が両面に背中合わせになっています。
他には、どちらも重要文化財の
金銅四天王独鈷鈴
金銅四大明王五鈷鈴
金銅四天王五鈷鈴

稲田法輪堂の密教法具はこちら

「今回博物館に来れて良かった」と思ったベスト1

展示の中で、「今回博物館に来れて良かった」と思ったベスト1は「国宝 金銅密教法具」ですが、
それと同じぐらいなのが「伝教大師坐像」(観音寺)です。

隣には、
五鈷杵を持った「弘法大師坐像」(元興寺)がおられました。

「伝教大師坐像」は、頭巾を被り、手を禅定印を結び瞑目されています。写真などでは伝わってこないものを感じることができずっとそばに居たいように思いました。

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