-シルクロードを翔る夢の馬-
平成20年(2008)4月5日(土)~6月1日(日)
奈良国立博物館
奈良国立博物館で、
4月5日(土)から6月1日(日)まで
『天馬 -シルクロードを翔る夢の馬-』展が開催されていました。
チケットを頂き、出掛ける機会に恵まれました。
第2章 ペガサスの飛翔-ギリシア・ローマ世界-
ギリシア神話とペガサス
エトルリア美術のペガサス
ローマ世界のペガサス
広がりゆくペガサス-コインに描かれたペガサス-
第3章 天馬東走-アジアの空へ-
イラン~中央アジア
東西をつなぐ絆 -天馬文錦と狩猟文の系譜-
第4章 天馬を夢みて-東アジアの天馬-
神仙世界の片 神仙世界の片隅から-中国・漢代-
この世の天馬を求めて -「汗血馬」の造形-
吉祥世界に生きる -鏡に描かれた天馬たち-
天馬日本へ 天馬日本へ
第5章 仏教と天馬
仏伝・高僧伝の仏伝・高僧伝の中の天馬
観音信仰と天馬観音信仰と天馬
密教の中の天馬
馬頭観音-馬の霊力に祈る-
第6章 神の紀元前に駆ける-競馬〈くらべうま〉の文化史-
「天馬」と、「シルクロード」。
どのような構成で展開されるのか予備知識なかっただけに次の展示に足を動かすのが未知の世界の様で楽しみでした。
空を飛ぶ夢の馬である天馬。
ササン朝ペルシアにおいて天馬は、神聖な動物の一つに数えられています。
紀元前1千年以上前に、西アジアで誕生しシルクロードを通じ世界各地に伝わったと考えられています。世界各地の天馬の展示となります。
ペガサス
チケットの写真は、ペガサスでした。
頭の中には、ギリシャ神話で登場するペガサスでいっぱいになっていました。
ところが、
展示会場に入ってまず目の中に飛び込んできたのが
「獅子 グリフィン形飾金具」です。
獅子 グリフィン形飾金具
馬だけでなく、獅子、龍、麒麟などの展示によりその頃に生きた人々の想いなどが感じられるように思いました。
ペガサスの誕生は、
見るものを石に変えるという怪女メドゥーサの首をペルセウスが切り落とした瞬間、吹き出した血の中からペガサスが生まれたといいます。(ギリシャ神話より)
ペガサスは、英雄や戦いの勝利に登場し陶器・装飾品にも描かれています。力の強さへの憧れを感じるように思いました。
ペガサス飾付きブローチ
アジアの章
アジアの章となります。
ペガサスや獅子を模様に織り込んだ錦「四騎士獅子狩文錦」が並びます。大変素晴らしいと思いました。
「羅地双有翼馬文刺繍裂」は、絹製に金糸を使い飛馬、火焔宝珠、霊芝、霊芝雲の刺繍が入っていて綺麗です。
「狩猟文六花形高脚杯」は、銀製で大変繊細に彫り込まれていて美しいです。
東アジアの章
東アジアの章となります。
ギリシャ神話のペガサスが力の象徴であったのに対して、東洋の有翼馬は、人々の魂の安寧や救済にかかわる存在であったそうです。
「金銀象嵌筒形金具」は、馬車の傘蓋を着脱する金具。有翼の聖獣などが描かれて、トルコ石が入っています。細い筒状のものに、ぎっしりと手を掛けられていましたので想いが込められているように感じました。
象牙が紅色に染められ、細い線により彫られた「紅牙撥鏤撥」。彫られた所が白く、部分的にそこに緑が入れられ色鮮やかで綺麗でした。
ここまでの展示を見て、なるほど人が生活する上でも常にパートナーとして共に生活をしてきたのは馬であることを再認識しました。颯爽と走るその姿には、人は魅了されます。
そして、昔戦いの多い時代には強く早く優秀な馬を求められ憧れたのでしょう。
より強く、より早い馬をと望まれたのが天馬なのかもしれないと思いました。
仏教と天馬
最後の章 仏教と天馬になりました。
「仏教」と「天馬」。
この言葉がどう繋がるのか、興味津々でした。
“太陽神スーリヤ”は、七頭立ての馬車にのり、暁の神サヴィトリは金色の馬にのって朝を導きます。仏教に取り入れられたスーリヤは、日天となって七頭立ての馬車にのっています。
天馬作品は、日本では飛鳥時代に流行がピークに迎えました。しかし、平安時代に密教美術で天馬が登場しました。
飛鳥時代の天馬が文様としての役割が大きかったのに対し、平安時代の天馬は仏像の台座や眷属として仏に従属する霊獣である点が異なります。」
「ペガサス」・「シルクロード」・「天馬」・「仏教」この言葉が繋がりに納得しました。
池には鯉が泳ぎ、
向こうの庭にはつつじが綺麗に咲いていました。
観覧した後に、お抹茶を頂きました。
気候もとても心地良い日でした。
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