『奇才 ―江戸絵画の冒険者たち―』【あべのハルカス美術館】レポート

『奇才 ―江戸絵画の冒険者たち―』【あべのハルカス美術館】レポート

あべのハルカス美術館での
『奇才 ―江戸絵画の冒険者たち―』をみてきました。

奇才 ―江戸絵画の冒険者たち―

あべのハルカス美術館

2020年9月12日(土)~ 11月8日(日)

ここは才能の渦!

江戸時代には、従来の常識を打ち破り、斬新で個性的な表現に挑んだ「奇才」と呼ぶべき絵師たちが、全国で活躍していました。
昨今注目を集める伊藤若冲、長澤蘆雪、曾我蕭白、歌川国芳ら、過激で強烈な個性を放つ絵師だけでなく、尾形光琳や円山応挙、葛飾北斎など、全国から35人の奇才絵師を集め、その個性溢れる作品を選りすぐり紹介します。

美術館の入り口を入るまでは
“奇才”という言葉に
戸惑いを感じていましたが、

1つめの展示室を見ただけで
“これぞ奇才と呼ばれるものぞ”
と体感し納得したのでした。

こんなにいろんな表現ってできるものなんだ!
絵って面白く奥深い。

感受性と表現力と技がつながり発揮される。

これだけそれぞれの異なる
斬新で個性的な作品が集まっていて爽快。
なんらかの持っている力を出す爽快感に刺激されたように思いました。

奇才

“奇才”という言葉を納得した理由を
うまく言葉にできないのですが、

図録にあった言葉がぴったりと思ったのでご紹介。

奇才の「奇」とは、「めずらしい」「あやしい」というのではなく、「思いがけない」の意である。つまり人の意表を突く思いがけない表現を試みた絵師たちということだ。

はじめに

『奇才 江戸絵画の冒険者たち』は、
東京展、山口展、大阪展とありました。

そして大阪展の会期中に
展示替えが8回ありました。

大阪展では展示されない作品もありました。

その展示作品すべてが掲載されている図録
たいへん貴重。

今回の拝観日記では、
やはり目にした作品は記録しておきたく。

また目にすることのなかった作品のことも
ふれておきたいという内容でまとめていきます。

単なる選りすぐりではなく
その絵師の個性が際立つ作品が集まっていたので、
作品名だけでも新しい刺激となるかもと思います。

展示のはじまりは、
葛飾北斎
『上町祭屋台天井絵 男浪』
『東町祭屋台天井絵 龍図』

★俵屋宗達
★尾形光琳
★狩野山雪
★伊藤若冲
★円山応挙
★長澤蘆雪
★曾我蕭白
★池大雅
★与謝無村
★祇園井特
★狩野永岳
俵屋宗達

生没年不詳

『扇面貼交屏風』(重文)
『墨梅図』

尾形光琳

万治元年(1658)~正徳6年(1716)

なんと、行った期間は
尾形光琳の作品の展示が…なかった。

そして他の展示期間に
『太公望図屏風(重文)』

法話会でたとえ話として
よく登場するあの“太公望”

『太公望図屏風(重文)』
この図では、釣竿は簡略な線で描かれ、釣糸は省略されている。

初めて目にする太公望の姿。

まさに「釣りをする太公望の釣糸は、ない」のでした。
表情がまたとてもやわらかい。

狩野山雪

天正18年(1590)~慶安4年(1651)

『龍虎図屏風』
『楼閣山水図屏風』
『武家相撲絵巻』
『維摩居士図』

『寒山拾得図(重文)』
展示期間でなく残念でしたが、

『維摩居士図』をみることができました。

ギョッとする長い爪で
眉、ひげ、払子のうねりが揃っていて
よく見ていくほど引き込まれました。

伊藤若冲

正徳6年(1716)~寛政12年(1800)

『乗興舟』
『鶏図押絵貼屏風』

円山応挙

享保18年(1733)~寛政7年(1795)

『人物正写惣本』
『破墨山水図』
『棕櫚図』

等身大かのぐらい大きな『人物正写惣本』
人の老いた皺やたるみ。
年齢や職業なども
文字でメモのように端に書き込み。

ありのまま絵に。

▼展示期間でなかった作品で

『七難七福図巻 人災』

『仁王経』に説かれる七難七福の教化を目的に、この世の事象になぞらえた絵画。天災、人災、福寿の三巻。“人災の巻”では、犯罪と拷問や刑罰が描かれる。牛裂きなどの光景。

リアルを絵にする応挙を知ったのでした。

長澤蘆雪

宝暦4年(1754)~寛政11年(1799)

『岩山猿・唐子遊図屏風』

右隻は、岩山に
左隻は、水辺で遊ぶ唐子子犬

力強い黒での岩、
猿も唐子も子犬それぞれの表情が印象的。

長澤蘆雪の『寒山拾得図』の展示期間もあったようです。

曾我蕭白

享保15年(1730)~安永10年(1781)

『群仙図屏風』(重文)

に乗る仙人
西王母蝦蟇仙人

いろいろインパクトありましたが、
ところどころ鮮烈な原色なのもインパクトあります。

池大雅

享保8年(1723)~安永5年(1776)

『児島湾真景図』
『富士十二景図』

与謝無村

享保元年(1716)~天明3年(1783)

『山水花鳥人物図』

与謝蕪村の『寒山拾得図』(重文)、展示期間もあったようです。

長澤蘆雪白隠のとは
ちょっとちがう姿の寒山拾得

祇園井特

宝暦5・6年(1755・56)~没年不詳

『鈴屋大人像』
『公卿と官女図屏風』
『二美人図』

狩野永岳

寛政2年(1790)~慶応3年(1867)

『西園雅集図舞良戸(貼付)』
『富士雲龍・大饗図扇面』

大坂

★中村芳中
★耳鳥斎
★林閬苑
★墨江武禅
中村芳中

生年不詳~文政2年(1819)

『老松図』
『登城図』
『落下鶴図』

芳中の犬のメモ帳を愛用しているのですが、
犬の作品の展示はありませんでしたが、

芳中の絵は丸っこかったり
使われる色が愛らしく和みます。

耳鳥斎

生年不詳~享和2・3年(1802・03)

『戯画巻』
『天狗寿老鼻頭くらべ』
『十二か月図』
『月見猩々図』

『天狗寿老鼻頭くらべ』
天狗寿老人がそれぞれの鼻と頭で長さを競い合っている縦長の作品でおもしろい。

『月見猩々図』
赤い長い髪の後ろ姿の猩々
目がとまって気になる作品でした。

大きな杯を手に持つ猩々が
山の上の月を見る様子だそうです。

見ていない作品ですが、
とても気になる『福禄寿』

画面に福禄寿はいない!
その名を表すとされる
コウモリ鹿霊芝
桃らしい樹木が描かれる判じ絵
愛らしい顔で立っている鹿がなんともかわいい。

林閬苑

生没年不詳

『鹿図』

墨江武禅

享保19年(1734)~文化3年(1806)

『雛図』
『月下山水図』
『寒林山水図』

繧繝縁の厚畳が敷かれていない『雛図』

江戸

★葛飾北斎
★加藤信清
★谷文晁
★鈴木其一
★狩野(逸見)一信
★歌川国芳
葛飾北斎

宝暦10年(1760)~嘉永2年(1849)

『上町祭屋台天井絵 男浪』
『東町祭屋台天井絵 龍図』
『千鳥の玉川』
『南瓜花群虫図』
『桔梗図』

赤!青!と
目をひく天井絵があるかと思えば、
お茶室などでそっと飾られるような
桔梗図が繊細な繊細な北斎の日本画

図録で大発見。
流行り病を鎮めたとされるようすの
『弘法大師修法図』

巻物を手にしている弘法大師と、
襲いかかろうとする鬼(病魔)(?)。

残念ながら大阪展では
お目にかかれないようです。

弘法大師の病を鎮めるようすの絵があったことと、
北斎が弘法大師を描いていたことが大発見となりました。

加藤信清

享保19年(1734)~文化7年(1810)

仏の姿を描く方が功徳となり、さらに経文で仏画を描けば写経の徳を兼ねることができると考え、経文で仏画を描くことを決意したという。

『阿弥陀三尊図』
『五百羅漢図』

パッと見た目は絵ですが、
近づいて線などを見ると
文字で線を描かれています。

谷文晁

宝暦13年(1763)~天保11年(1840)

『泉声松韻図』

鈴木其一

寛政7・8年(1795・96)~安政5年(1858)

『朴に尾長鳥図』
『紅葉狩図凧』
『達磨図凧』

狩野(逸見)一信

文化13年(1816)~文久3年(1863)

鮮烈な彩色と陰影法を取り込まれた仏画。

『五百羅漢図 第45幅 十二頭陀 節食之分』
『五百羅漢図 第46幅 十二頭陀 中後不飲漿 一坐食 節量食』

『五百羅漢図』

インパクトある彩色と人の表情。
それぞれの羅漢の様子を描かれる。

見た以外の展示作品に、
「六道 地獄(21・22・23・24幅)」
「六道 鬼趣(25・26・27・28福)」
「六道 畜生(29・30幅)」
「十二頭陀 納衣(47幅)」
「十二頭陀 但三衣(48幅)」
「十二頭陀 冢間樹下(49幅)」
「十二頭陀 露地常坐(50幅)」

インパクトに圧倒されるけれど、
「何なんだろうか?」と思う。

ゆっくり見ていくと、
いろんな様子を見つけて知っていくことができる。

迫力ある地獄だったり、
どこか怖そうな様子だったり。
こういう様子だとわかって
また眺めてあじわう。

歌川国芳

寛政9年(1797)~文久元年(1861)

『三人上戸図』
『白拍子静図』
『夏衣美人図』
『七代目岩井半四郎の三浦屋の揚巻』
『水を呑む大蛇』
『合戦図』

松前

蠣崎波響

宝暦14年(1764)~文政9年(1826)

『御味方蝦夷之図 イコトイ』
『旧城朝鮮古梅之図』

『夷酋列像図』
アイヌを帰順させた指導者十二人の肖像を松前家の命によって波響が描いた。

仙台

菅井梅関

天明4年(1784)~天保15年(1844)

『勝画楼望月・五大堂観日図』
『昇龍図』

水戸

林十江

安永6年(1777)~文化10年(1813)

『蜻蛉図』

紙いっぱいに大きな大きなトンボ

古河

河鍋暁斎

天保2年(1831)~明治22年(1889)

『惺々狂斎画帖(一)』
『惺々狂斎画帖(二)』
『狂斎興画帳』
『処刑場跡描絵羽織』

『処刑場跡描絵羽織』

夏物の涼しげな紋付の羽織
裏返すと、凄惨な処刑場の有様。

外から見えるのは涼しげな羽織なのに、
背中合わせに処刑場がくるということなのでしょうか。
ただ裏側の見えない部分ということでしょうか。

飯田

佐竹蓬平

寛延3年(1750)~文化4年(1807)

『古木竹石図』
『山水図』

小布施

髙井鴻山

文化3年(1806)~明治16年(1883)

『妖怪山水図』
『煙吐く妖怪図』
『柳と小鳥図』
『もくれんと小鳥図』

駿河

白隠

貞享2年(1685)~明治5年(1768)

曾我蕭白や池大雅に影響を与え、黒バックの絵や黒バックの版画へ影響が取りざたされる。

『達磨図』
『すたすた坊主図』
『一つ目小僧』

「すたすた坊主」とは、
他人の代理で神社・仏閣に参拝する願人坊主の一種。

『一つ目小僧』

一つ目小僧
目の見えない人を驚かそうとしている中、

目の見えない人
「おいらは目が1つもないぞ。怖いだろう。」とすました顔。

なにか教わっているようでしばらくあじわいました。

尾張

田中納言

明治4年(1767)~文政6年(1823)

『たわむれ猫図』

『たわむれ猫図』

猫が遊んでいる“ねこじゃらし”。
それは、孔雀の羽根。豪華です。

いろいろグッズになっていた作品でした。

田中納言は、幼少の頃
日蓮宗の寺に入門し
比叡山延暦寺で天台宗を学び
京都で絵を学んだ方だそうです。

福井

岩佐又兵衛

天正6年(1578)~慶安3年(1650)

『三十六歌仙図』
『和漢故事説話図』

岡山

浦上玉堂

延享2年(1745)~文政3年(1820)

『山高水長図』

高知

絵金

文化9年(1812)~明治9年(1876)

『伊達競阿国戯場 累』
『花衣いろは縁起 鷲の段』

福岡

仙厓

寛延3年(1750)~天保8年(1837)

『七福神図』
『盲者渡橋図』
『羅生門図』

鳥取・長崎

片山楊谷

宝暦10年(1760)~享和元年(1801)

『竹虎図屏風』
『鷲図』
『猛虎図』

『猛虎図』
三頭の色違いの虎。ですが、
それより何よりゴワゴワの毛の質感が伝わる。
撫でたら、手が痛そう。

山口

神田等謙

生没年不詳

『西湖・金山寺図屏風』

音声ガイド

花江夏樹さん(声優)

古美術商に扮した花江さんが、絵の技法や見どころの解説、絵師の人生ストーリーをわかりやすくご紹介します。

ガイドがある絵師さんの人数も多く、内容も特徴やエピソードもなかなかあって、ぎっしり盛りだくさん。

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