お寺・神社・博物館・美術館にて【法輪堂の拝観日記】

「明恵の夢と高山寺」展 レポート【中之島香雪美術館】

四十年間、自分の見た夢を書きつづけた高僧。
特別展「明恵の夢と高山寺」

2019年3月21日(木・祝)~5月6日(月)
中之島 香雪美術館

※期間中展示替えがあります。
前期:3月21日(木)~4月14日(日)
後期:4月16日(火)~5月6日(月)

展示の後期に行きましたので、
「国宝 明恵上人像(樹上坐禅像)」
「鳥獣戯画 甲巻・丙巻」
国宝「仏眼仏母像」を観ることができました。

大阪にある「中之島 香雪美術館」で
明恵上人の特別展があると行って来ました。

京都・栂尾の高山寺を開創した鎌倉時代の学僧・明恵上人(1173~1232)が自分の夢を長年にわたって記した「夢記」をてがかりに、その人物像に焦点をあてる展覧会。夢想や瞑想など様々な形の夢が含まれています。「夢記」は弟子に受け継がれ、その多くが高山寺に伝来しました。

明恵の夢の世界を、高山寺の寺宝の数々を中心に、明恵の身近にあった作品から描き出してみます。高山寺所蔵の国宝「鳥獣戯画」(全4巻)も公開。

「鳥獣戯画が公開される…京都国立博物館で観せて頂いたのにまた公開とはどういう特別展なのだろう?」と思いつつ。

と観せて頂いた結果、

「夢記」が焦点となることで、禅中にみた夢も書き留められていたことが浮き上がり、明恵上人は求道と実践の人「明恵上人樹上坐禅像」と「夢記」と「華厳海会諸聖衆曼荼羅」などが繋がったのがとても興味深く感動でした。

そして、
なぜ“香雪美術館”でなのかというのは

国宝「鳥獣戯画」の本格的な修理が“朝日新聞文化財団の助成”で完成し、“村山コレクション”には高山寺に伝来した仏教典籍などの作品が含まれ関係が深いということのようです。

展示だけでなく、説明のパネルもより踏み込んだ内容がいろんな形の説明でまとめられていました。

村山龍平記念室

香雪美術館は、
朝日新聞社の創業者・村上龍平(号香雪)の収集した美術品を公開。

村上龍平記念室では、
新聞づくりに邁進し、日本の文化や美術を支援した生涯にたどる。岡倉天心らが創刊し、村山が財政支援した現存最古の美術雑誌『國華』も紹介。

第1章 夢をみる 明恵という人

平安時代の末、和歌山県の地に生まれた明恵。
華厳と密教を融合した独自の思想を打ち立て、鎌倉仏教界に特異な地位を築きました。主な活動圏は、拠点である京都の高山寺と、故郷の和歌山、東大寺と春日大社のある奈良でした。

明恵上人樹上坐禅像(国宝)

一幅 鎌倉時代 13世紀
紙本着色 縦145,0 横59,0
京都高山寺

仏眼仏母像(国宝)

一幅 平安~鎌倉時代 12~13世紀
絹本着色 縦197,0 横127,9
京都高山寺

“明恵の念持仏”
一切を見通す智の力を尊格化したしたのが“仏眼仏母”。

第2章 夢をしるす ある日の夢記

明恵は、ほとけの世界から届いたメッセージとして、すべての夢を大切にしました。夢をみることを願い、夢の示すことを考えつづけた高僧でした。この夢の記録が「夢記」です。明恵がのこしたある日の夢記を読み解きながら、その夢と幻の世界を紹介。

明恵 夢記

鎌倉時代

“明恵がみた夢の記録”。

金輪仏頂図

一幅 絹本着色
縦92,5 横41,9
鎌倉時代 13世紀
大阪市立美術館

“”金輪仏頂”を中尊に、画面四方に“弥勒”・“聖観音”・“地蔵菩薩”・“不動明王”の四尊を描いた五尊像。金輪仏頂は五仏をつけた宝冠を戴き、金剛界曼荼羅一印会の大日如来像と図像が一致する。白肉色で白蓮華上に坐し、着衣には白線で文様が描かれるなど、白色を主体とした表現をみせる。

一字金輪像

一幅 絹本着色
縦71,6 横41,0
鎌倉時代 13世紀
村山コレクション

インドにおいて理想の王とされた転輪聖王をモデルにした仏で、息災や敬愛、増益などを祈る一字金輪法の本尊とされた。

神鹿(重要文化財)

一対 木造彩色
男鹿:像高51,6 妻鹿:像高46,4
鎌倉時代 13世紀
京都高山寺

馬(重要文化財)

一軀 木造彩色
像高77,3
鎌倉時代 13世紀
京都高山寺

春和夜神像

一幅 絹本着色
縦61,0 横28,0
鎌倉時代 十三世紀
京都高山寺

『華厳経』入法界品で、“善財童子”が訪問する五十三人の善知識のうち、三十一番目に会うのが“春和夜神”。粉本では春和夜神の視線の先に、“月”が描かれており、本作では確認しづらいが、円形の月が描かれていたとみられる。“明恵”は善知識のなかでも春和夜神に格別の信仰を向けていたようである。

前期に展示。

華厳海会諸聖衆曼荼羅 (重要文化財)

一幅 絹本着色
縦182,4 横116,1
鎌倉時代 十三世紀
奈良東大寺

『華厳経』の最終章である入法界品は、善財童子が文殊菩薩の教えを受けた後、五十三人の善知識のもとを訪れ、教えを請う物語を主題を描かれた。

最上部に「華厳海会善知識」と大書し、その下の中央区画に『華厳経』の教主である“毘盧遮那如来”を描く。廬舎那仏の周囲は、基盤の目状に五十四に区切り、各区画に“善財童子”が善知識のもとを訪れる場面を描く。旅は、向かって左上の“文殊菩薩”による導きに始まり、右下の“普賢菩薩”のもとで完結する。善財童子は善知識のもとで教えを受け、修行を段階的に進めていき、最後に普賢菩薩と対面して修行を完成させる。“明恵”は、修行の階梯をのぼっていく“善財と善知識のあり方”を、自らの修行の手本とみており、善知識曼荼羅を制作し流布させた。

八幡大菩薩・弘法大師・春日明神像

一幅 室町時代 15世紀
絹本着色 縦140,8 横73,0
京都高山寺

中段に、頭上に赤色の日輪を戴く“八幡大菩薩(八幡神)”と、椅子に坐す“弘法大師空海”が向かい合い、下方には“春日明神”の使いである神鹿が御蓋山とおぼしき山上に、四肢を折り伏せた姿で描かれる。

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第3章 夢のあとさき 明恵示寂

寛喜4年(1232)、高山寺で明恵は六十年の生涯を閉じました。
臨終時の枕元には、「五聖曼荼羅」が掛けられました。六十年の求道の末にたどりついた修法・仏光三昧観の本尊です。そして兜率天にいる弥勒菩薩のもとに生まれることを願って息をひきとりました。この時、弟子たちには膨大な数の夢記が残されました。

鳥獣戯画 丙巻(国宝)

一巻 鎌倉時代 13世紀
紙本墨画 縦31,9 横1113,1
京都高山寺

鳥獣戯画 丁巻(国宝)

一巻 鎌倉時代 13世紀
紙本墨画 縦31,7 横938,6
京都高山寺

将軍塚絵巻

鎌倉時代
桓武天皇が平安京へ遷都するにあたり、都の平穏を祈って巨大な武人像を埋めた将軍塚を築造する様子を描く。

第4章 夢をつなぐ 村山コレクションへ

明恵の顕彰を意図した「明恵上人奉賛会」。会の顧問の一人に村山龍平がいました。香雪美術館の村山コレクションには、高山寺に伝来した仏教典籍や白描図像等の作品が含まれています。

子犬(重要文化財)

木造彩色 像高25,5
鎌倉時代 十三世紀
京都高山寺

2014年にあった特別展の感想はこちら

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