お寺・神社・博物館・美術館にて【法輪堂の拝観日記】

特別展「ジブリの絵職人 男鹿和雄展」

兵庫県立美術館での、特別展「ジブリの絵職人 男鹿和雄展」
/同時開催「3びきのくま展」へ行って来ました。

2009年12月8日~2010年2月7日
兵庫県立美術館

「となりのトトロ」など数多くのスタジオジブリ作品で
背景美術の監督を手がけてきた男鹿和雄(1952年~)の
やさしく心温まる作品約600点が紹介されました。

背景…、背景だけの展示・・・、何故背景の?
感覚がつかめず、少し戸惑いながら入り口をくぐりました。

しかし、

素晴らしい背景画の数々で、すぐに魅力に嵌りました。

アニメ映画の背景ですので、登場人物などが
その背景の前を動きストーリーが進んでいきます。

映画を見ている時は、ストーリーを追っているので
背景まで記憶に残っているかな・・・っていう感じです。

展示品の前に立つと、旅行先で出会った光景が
リアルに思い出したかのような感覚になりました。
とにかく、広がる世界は「リアル」

的確に描かれた背景。

綺麗だけでなく、同じ背景でありながら
昔になったり、時代が進んだり、
埃が落ちているだけでなく空き家だった汚れであったり。

それが何気なく見ていても違いが分かるほど
忠実にとても丁寧に描かれていました。

自然の風景であったり、植物であったり
なつかしいような風景であったり
本当に癒されていきました。

・・・と思いながら展示会場を進んでいったのですが
ふと疑問のようなものが湧いてきました。

「綺麗ね」「自然は癒されるね」だけの忠実な背景だけではなく
男鹿和雄さんは、
この背景の中で一番美しく見える高さ・角度で
背景を描いておられるのではないかと。
そう思いました。

音声ガイドでどなたかのお話でもあったのですが、
「男鹿さんは、誰も見た事のない美しい自然を見せてくれる。」
とおっしゃっていたように思います。そのお話も納得でした。

自然そのままではなく、例えば木々の密集度や
道沿いに立つお地蔵さまの石仏の場所などなど。

最終的に納得されたものを見せて頂けているのだと思いますが
1枚の絵が出来上がるまでに下書きやシュミレーションの数は
果てしない数のように思えました。

誰も見た事のない美しい自然を見せて貰えるなんて
有難いことだなぁと思います。

中でも、『おもひでぽろぽろ』頃の背景画は
「写真のようだ。」と賞されるほど美しく実物のような絵でしたが
男鹿さんにとってはポイントとなったようです。

そんな中『崖の上のポニョ』で、
「子どもが描いた様な絵」という要求で
苦闘の中また新たな広がりを見つけられたということです。

あまりにも素晴らしい背景画を数多く見せて頂いていると、
サラッと描けていらっしゃるように思えてきていただけに
「悩まれる事もあるのだ。」と当然の事かもしれませんが
深さを感じました。

男鹿さんは、今ではスタジオを離れ
挿絵などを描かれているようで展示もありました。

会場を出ると、
サイン入りの大きな折り紙で折ったトトロがありました。

色紙で、トトロを折りましょう。
年齢層は様々ですが、みなさん折っておられます。

随分久しぶりの折り紙に、ドキドキしましたが
マジックで最後に目と鼻と口と髭を描いて

男鹿さんの背景画の前に置いて

素晴らしい背景画で癒された後に
なかなか楽しい嬉しい経験でした。

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