お寺・神社・博物館・美術館にて【法輪堂の拝観日記】
2023年秋季特別展「金峯山の遺宝と神仏」

「金峯山の遺宝と神仏」レポート【MIHO MUSEUM】

2023年秋季特別展「金峯山の遺宝と神仏」
秋季特別展「金峯山の遺宝と神仏」

2023年9月16日(土)~2023年12月10日(日)
MIHO MUSEUM

奈良県の吉野と和歌山県の熊野を結ぶ修行の道「大峯奥駈道」がユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』の登録資産となって来年で二十年を迎えます。とくに「金峯山」とも称され、吉野から大峰山(山上ヶ岳 標高一七一九メートル)にいたる山系には、吉野金峯山寺(山下蔵王堂)と大峯山寺(山上蔵王堂)があり、山上において役小角(役行者)が厳しい修行のすえ祈り出したという蔵王権現を祀り、今なお篤い信仰が寄せられています。

金峯山山上は、平安時代はじめには開かれ、やがて宇多天皇をはじめ、藤原道長、師通ら皇室や有力貴族が登拝してからは「御嶽詣」と呼ばれるように多くの人々の参詣する屈指の霊場となりました。折しも仏教の教えが衰える末法の世の到来にそなえ、道長・師通らはお経を書写し、容器に納めて土中に保持する「経塚」を山上に築きました。それら経塚遺物を含む膨大な出土品は、すでに明治時代には明らかになっていましたが、本展ではそれらに加え、昭和時代に行われた山上本堂修理に伴う発掘調査による出土品や近年明らかになった新資料をはじめ、「金峯山」にかかわる彫刻、絵画、工芸品を展示し、ひろく金峯山信仰のようすをご覧ください。

【展示構成】

第1章 役行者伝説と金峯山信仰の始まり
第2章 山上本堂の解体修理に伴う発掘調査と遺物
第3章 蔵王権現
第4章 道長の金峯山参詣と金峯山経塚の遺宝
第5章 新出の金峯山経塚の遺宝
第6章 金峯山・修験道世界の完成

「修験道のものがみることができる」ということでMIHO MUSEUMに行って来ました。この記事の1枚めの画像にもあるように《国宝 蔵王権現鏡像》が看板となっています。どんな展示があり、どのように展開されるのかまったく想像つかない状況でしたが、展示室に入って目にした瞬間からその世界に包まれるかのようでした。

第1章 役行者伝説と金峯山信仰の始まり

《銭弘俶塔 残欠》 
山上本堂出土
中国・五代 10世紀
奈良・大峯山寺
《大峯山頂出土品》 
奈良・大峯山寺
《錫杖頭》 
重要文化財
平安時代前期 9世紀
東京国立博物館
《三鈷杵》 
弥山山頂出土
奈良~平安時代前期 8~9世紀
奈良国立博物館
《役行者半跏像・前鬼後鬼坐像》 
山梨県指定文化財
平安後期~鎌倉時代 山梨・円楽寺
《役行者母公坐像》 
平安後期~鎌倉時代 12~13世紀
山梨・円楽寺
《役行者母公倚像》 
鎌倉時代 14世紀
奈良・櫻本坊
《童子立像》 
鎌倉時代 14世紀
山梨・円楽寺

円楽寺蔵の《役行者半跏像》《前鬼・後鬼像》は、とても近寄りがたい厳しさを感じました。そして《役行者母公像》は綺麗な木目が見える円楽寺蔵と彩色のある櫻本坊蔵を音声ガイドの説明でエピソードを聞きながらでしたので、その頃の心境を想像しながら見せていただいていました。

第2章 山上本堂の解体修理に伴う発掘調査と遺物

《経軸端・蝶形経帙飾》 
重要文化財
平安時代 奈良・大峯山寺
《瑞花鴛窵八稜鏡》 
重要文化財
平安時代 奈良・大峯山寺
《男神鏡像》 
龍泉寺宿坊出土
平安時代 10~12世紀
奈良・大峯山寺
《蔵王権現鏡像》 
龍泉寺宿坊出土
平安時代 天喜4年(1056)
奈良・龍泉寺

《大峯山頂出土品》など奈良・大峯山寺のものを目にすることにより金峯山でいるかのようなイメージをしやすくなりました。というのも展示室の空間や照明、そして所々に大峯山などでの風景が目に入るようになっていたのです。さり気なく馴染んでいて居心地よくすばらしいと思いました。

第3章 蔵王権現

国宝《蔵王権現鏡像》 
平安時代 長保3年(1001)
東京・西新井大師總持寺
《蔵王権現立像》 
東京都指定文化財
平安時代 9~10世紀
東京・五社神社
《蔵王権現立像》 
平安時代後期 11世紀
奈良国立博物館
《蔵王権現立像》 
重要美術品
平安時代後期 佐野美術館
《蔵王権現立像》(26躯のうち) 
重要文化財
平安後期~鎌倉時代 奈良・大峯山寺

木像の蔵王権現像もあり、それぞれの彫りなどのちがいを見ることができました。蔵王権現以外も鏨で描かれている鏡像の展示が多かったのですが、《国宝 蔵王権現鏡像》は大きさもありましたがその世界で目にしているかのように見え、裏側には梵字で構成されていて、そして音声ガイドでの説明とエピソードを聞き勇気と感謝といろいろな素晴らしさを感じました。実物でないときっと捉えられなかっただろうと思います。

第4章 道長の金峯山参詣と金峯山経塚の遺宝

国宝《金銅藤原道長経筒》 
平安時代 寬弘4年(1007)
奈良・金峯神社
《妙法蓮華経 方便品》 
重要文化財
平安時代 長徳4年(998)
東京国立博物館
《国宝 双鳥法相華文経箱》
平安時代後期 11~12世紀
奈良・金峯神社
《国宝 経箱 鷺脚台付》
平安時代後期 11~12世紀
奈良・金峯神社
《国宝 経箱 猫脚台付》
平安時代後期 11~12世紀
奈良・金峯神社

《金峯山埋経 藤原道長筆》の期間ではありませんでしたが、金色に輝く経筒など、金峯山参詣にむかうものなどを感じながら見せていただきました。縦向きにいれる経筒と、横向きに入れる経箱。道長筆のものは経筒だったので紙の下の部分が傷んでいるそうですが、のちの時代の経箱のものはきれいな状態で残っていました。

第5章 新出の金峯山経塚の遺宝

《塔形金具》 
平安時代後期 11~12世紀
《蔵王権現 四神鏡像》
平安時代後期 11~12世紀
《三神鏡像》
平安時代後期 11~12世紀

立てておくことができる足の付いた鏡像や塔をかたどったものや懸仏もたくさんありました。

第6章 金峯山・修験道世界の完成

《大峰山全図》 
江戸時代 大和文華館蔵
《源慶作 蔵王権現立像》 
重要文化財
鎌倉時代 嘉禄2年(1226) 
奈良・如意輪寺蔵
《吉野曼荼羅彩絵厨子・厨子絵》 
重要文化財
南北朝時代 延元元年(1336)
奈良・如意輪寺
《吉野曼荼羅》 
重要文化財
南北朝時代 14世紀
奈良・西大寺
《吉野曼荼羅》
江戸時代 17世紀
滋賀・市神神社
《熊野曼荼羅図》 
重要文化財 絹本著色
鎌倉時代 京都・聖護院
《熊野本地仏曼荼羅》 
重要美術品
鎌倉時代 14世紀
根津美術館
《熊野本地仏曼荼羅》 
重要美術品
鎌倉時代 14世紀
京都・聖護院
《熊野垂迹曼荼羅》 
南北朝時代 14世紀
滋賀・錦織寺
《慶俊作 役行者椅像》 
鎌倉時代 弘安9年(1286)
奈良国立博物館
《役行者前鬼後鬼・八大童子像》 
南北朝時代 14世紀
京都・聖護院
《不動明王立像》 
江戸時代 大和文華館蔵
《不動明王立像》 
鎌倉時代 寛喜4年(1232)
奈良・天ケ瀬八坂神社
《独鈷杵》 
鎌倉時代 13~14世紀
奈良・龍泉寺
《役行者・前鬼後鬼像》 
上北山村指定文化財
江戸時代 安政5年(1858)
奈良・天ヶ瀬八坂神社
垂迹(すいじゃく)
仏・菩薩 (ぼさつ) が人々を救うため、仮に日本の神の姿をとって現れること。

聖護院蔵の《役行者前鬼後鬼・八大童子像》は、一番手前に小さく白い犬が役行者を見てます。《吉野曼荼羅》《熊野曼荼羅図》《熊野本地仏曼荼羅》《熊野垂迹曼荼羅》は音声ガイドの説明によりとても興味深く見せていただくことができました。吉野と熊野を結ぶ「大峯奥駈道」なので那智の滝のそばに千手観音が描かれているのがツボでした。

ここで不動明王像があり鎌倉時代の蔵王権現像や役行者像の展示となり、『金峯山・修験道世界の完成』と題されています。それが大トリの展示が見た目が愛らしげな陶器製の《役行者・前鬼後鬼像》。ただの陶器製ではなかったことに音声ガイドで納得しました。展示全体で感じていたことですが、どれだけ神仏へむけているかというものが金峯山の遺宝から伝わってくるような展示でした。そして音声ガイドの《エピローグ》で、蔵王権現・修験道の説明のまとめが素晴らしく心でいっぱい拍手を送りました。

2023年秋季特別展「金峯山の遺宝と神仏」
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