お寺・神社・博物館・美術館にて【法輪堂の拝観日記】

「若冲と応挙 Ⅰ期」動植綵絵と七難七福図巻【相国寺承天閣美術館】

企画展「若冲と応挙」

Ⅰ期
2023年9月10日(日)~2023年11月12日(日)

Ⅱ期
2023年11月19日(日)~2024年1月28日(日)

相国寺承天閣美術館

伊藤若冲
1716年3月1日(正徳6年2月8日) – 1800年10月27日(寛政12年9月10日)。
江戸時代の画家。
円山応挙
享保18年5月1日(1733年6月12日)- 寛政7年7月17日(1795年8月31日)。
江戸時代中期~後期の絵師。

「そろそろ日本画が見たくなった。どこで見ることが出来る?」「応挙の絵が見たい。」そんな声に応えてくれるかのような企画展がちょうどあり、その上あの若冲のドラマでも描かれ展示光景も映された“釈迦三尊像と動植綵絵”が見ることができるというなんとも贅沢な展示を相国寺承天閣美術館で見せていただいてきました。

相国寺

相国寺 山門

相国寺
(しょうこくじ)

相国寺(しょうこくじ)は、
京都市上京区にある臨済宗相国寺派の大本山の寺院。
山号は萬年山(まんねんざん)。本尊は釈迦如来。

足利将軍家や伏見宮家および桂宮家ゆかりの禅寺。
鹿苑寺(金閣寺)、慈照寺(銀閣寺)は、
相国寺の山外塔頭である。

相國寺 全景 案内図

池にちいさな蓮が1つ咲いているのを見つけました。蓮の花をみるのはなん年ぶりでしょうか。もう9月になっているのに蓮の花を見ることができた幸運。

池に一輪の蓮の花

相国寺承天閣美術館

承天閣美術館
(じょうてんかくびじゅつかん)

相国寺承天閣美術館は、京都府京都市上京区の相国寺境内にある美術館。
相国寺および臨済宗相国寺派に属する鹿苑寺(金閣寺)や慈照寺(銀閣寺)などが所有する墨蹟・絵画・工芸品等の文化財を収蔵・展示している。

企画展「若冲と応挙」

相国寺承天閣美術館 玄関内 展示ポスター

【概要】

18世紀の京では、多くの絵師が各々の画技をふるいました。なかでも、伊藤若冲と円山応挙は現在も愛好者の多い、人気の絵師です。本展覧会では、相国寺と伊藤若冲の関係を軸に、相国寺と相国寺塔頭所蔵の作品を公開します。

Ⅰ期は円山応挙の傑作、重要文化財《七難七福図巻》全三巻と画稿、下絵を公開。

Ⅱ期は伊藤若冲の傑作、重要文化財の《鹿苑寺大書院障壁画》五十面を一挙公開。

【展示構成】Ⅰ期

第一章 相国寺と若冲
釈迦三尊像と動植綵絵(コロタイプ複製)と観音懺法

第二章 若冲の画技
(Ⅱ期 重要文化財 鹿苑寺大書院障壁画五十面 一挙公開)

第三章 応挙の画技
Ⅰ期 重要文化財 七難七福図巻 一挙公開
・七難七福図巻 天災巻 円山応挙筆 
・七難七福図巻 人災巻 円山応挙筆
・七難七福図巻 福寿巻 円山応挙筆
・七難七福図巻 画稿  円山応挙筆
・七難七福図巻 下絵  祐常筆
・萬誌 祐常筆 二十冊 紙本墨書
・釈迦十六善神像 円山応挙筆 一幅
・葡萄小禽図 伊藤若冲筆
・不動明王像 一躯 木造 鎌倉時代 鹿苑寺蔵

第一展示室に入ると、《動植綵絵》の右側からみえました。

“釈迦三尊像”と“動植綵絵(コロタイプ複製)”

『釈迦三尊像』

東福寺に所蔵されていた伝張思恭作、実際は高麗仏画だと思われる「釈迦三尊像」を見て感動した若冲が、原図をかなり忠実に模写した作品。

今でも文殊・普賢菩薩像は「観音懺法会」で伝吉山明兆筆の「白衣観音像」の両側に掛けられて礼拝の対象になっている。

(左から)
普賢菩薩像
釈迦如来像
文殊菩薩像

釈迦三尊像の左右に

『動植綵絵』

伊藤若冲の代表作の一つ。江戸時代中期にあたる宝暦7年頃(1757年)から明和3年(1766年)頃にかけての時期に制作、30幅からなる日本画であり、動植物(鳥、鳳凰、草花、魚介類など)を描いた彩色画。三の丸尚蔵館蔵。国宝。

若冲は「山川草木悉皆仏性」の思想を、観音経にある「三十三応身」になぞらえて描き出したと考えられる。

《 動植綵絵 》(国宝、現在は宮内庁所蔵)を鮮やかに再現した複製画30幅を並べる。
三十三応身

『観音経』には、観音菩薩はあまねく衆生を救うために相手に応じて仏身、声聞身、阿修羅身など33の姿に変身することが説かれている。

山川草木悉皆仏性
(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)

眼に見えないすべてのものを含め、この世に存在するすべてのものが、私たちを本来の姿に立ち返らせようとして、間断なく働き変えているという意味。存在するすべての原始物質は、同じであり、すべてに仏性が宿るという考え方。

《釈迦三尊像》は若冲が感動したといわれる原画をかなり忠実に模写とあるので、この釈迦三尊像による若冲作品への影響がかなりあったのではないかと見上げながら感じました。なぜか《普賢菩薩像》を長い時間ながめていたのでした。

《動植綵絵》は一幅だけでもどれだけ時間をかけられたのだろうと思う作品が30幅並んでいるのですから圧巻です。冷静に見ると現実には目にすることができない光景ですが違和感はまったく感じないマジック。山川草木悉皆仏性という世界を目にしているのでしょうか。

重要文化財【七難七福図巻】

『七難七福図巻』

円満院の祐常が円山応挙に描かせた作品で、天災巻、人災巻、福寿巻の3巻よりなる。『仁王経』という経典に説かれた災いと福を描き出したもの。三年の歳月をかけて、36歳の応挙が完成させました。

“依頼者の祐常による下絵”、“応挙の画稿”、“完成した大作絵巻”の展示。

地震や火災にあったり、盗賊におそわれたり逃げる人々。その光景でさまざまなことが語られる表現がすばらしく思いました。残酷な場面がリアルに描かれ力強く、しかし絵巻となると淡い彩色も施されていました。襖絵もしっかり描かれていたり、人の表情がとても繊細に描かれていたり。それとは真逆のようでしたが雷の空がすばらしい表現だと思いました。

現代のように写真も動画もない時代に光景を人に伝える役目の大きさと絵にする能力。伊藤若冲と円山応挙はすごかったのだと思いました。

正月時代劇『ライジング若冲 天才かく覚醒せり』

正月時代劇『ライジング若冲 天才 かく覚醒せり』
2021年1月2日(土)放送
後日、特別編放送

謎多き江戸時代の天才絵師・伊藤若冲の実像を、その才能を目覚めさせた禅僧・大典顕常をはじめとする若冲を取り巻く芸術意識の高い京の人々との交流、代表作「動植綵絵」の誕生秘話を交え、緻密な考証と大胆な仮説をもとにドラマ化。

伊藤若冲 (中村七之助)
僧侶・大典(永山瑛太)

若冲のドラマ“完全版”の特別編もどちらも見ました。ドラマの終盤で若冲さんと大典さんふたりの緊迫ある掛け合いのシーンから《動植綵絵》を描き上げられ、釈迦三尊像と《動植綵絵》がずらっと並ぶシーンが印象的でいまも目に残っています。大典さんが若冲さんに言った台詞が禅僧が絵師に望むものというのを想像できるようでいいドラマでした。その光景を今回の企画展で目にすることができてよかったです。

臨済宗相国寺派

相国寺承天閣美術館は、相国寺・金閣寺・銀閣寺・他塔頭寺院に伝わる美術品を受託し、保存及び展示公開、修理、研究調査、禅文化…

若冲と応挙 Ⅰ期 2023年9月10日(日)〜11月12日(日) / Ⅱ期 11月19日(日)〜2024年1月28日(日…

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