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京都仏師工房訪問記(4)

京都仏師工房訪問記(4)
ー ほとけを生み出す”手” ー

私がお話を色々お聞きしている後ろでは、黙々とお弟子さんが作業をされておられました。

全国様々な場所からいろんな経緯を経て、またご縁があり、仏師先生の元へ来られたほとけさまがここで、修復され生まれ変わるのです。

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見せていただいた時に作業をされていたのは、欠けてしまったほとけさまの【指の復元】と欠けてしまった【光背の復元】の作成製作されていました。

その部分に合わせた大きさの木を少しずつ少しずつ削り、ほとけさまに合わせ具合を見ながら何度も何度も慎重に繰り返し、1本の指にも長時間かけて作り上げられていっていました。

もちろん、新しく生まれてこられる仏様もこちらで造られています。

神聖な場所です。

黙って、5分ほど作業を拝見させていただきました。

特に集中力の持続。これが素晴らしく集中されて持続されるお弟子さんの手の動きは、芸術的で美しくも見えました。

「集中力」

「根 気」

「技術力」

「センス」

「知 識」

最低限、これらのものをバランスよく持ってないとこちらの工房で生み出されるようなほとけさまは、出来ないと思いました。

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こちらは、仏さまの光背を彫刻されている所です。

ちょうど雲の部分を彫刻されているところでした。

彫刻刀を持つ手の動きが、小さな曲線を描き美しいリズムで削られていく様は、木の削れる「ザクッザクッ」と言う音が心地のいい音で、さらに削るときに出る木の芳香が森林浴をしているかのような木のすがすがしい香りとなり、心地よい空間を作っていました。

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上の写真は最後に見せていただき、説明をしていただいたものです。

修復途中のほとけさまの【本体部分の表と裏】です。

何百年前もの前の仏様とのことですが
なんと!裏を見ると木は、「生きてました!」

削れば、水分を含んだ美しい木の組織が見られます。

木を生かす天然の漆のコーティングや木の良い所をうまく使用して作られているなどの昔の仏師職人の技術をレベルの高さが現代に伝えたれた仏様を通してわかります。

何百年もの間、仏様になった木を守り生かし続けているという【天然の漆】の素晴らしさに感動しました。

一概に漆といっても色々あります。

勿論、上記の漆は、本漆であるのは間違いないのですが、現在では仏具、仏壇などのほとんどのものはカシューという漆の代用のものが多く、もっと安価なものは化学塗料の吹きつけと行ったものが”漆”塗りとされているのが現状です。

最近では上手く塗装しているものもあり漆と言われても普段漆のものを見慣れていない方などは一見、分からないこともおおいですが、やはり本漆の独特の美しさには届かないと思います。

今回のように昔に本漆によって施された作品を見ますと良いものはやはり良いと言わざるおえないでしょう。

本漆は、高価なだけではなく、その扱いは大変難しいものです。それだけに本漆を正しい技術により使われたものは、それだけ価値が違うのです。

まだまだお聞きしたことがあり名残惜しかったですが、これ以上お手を止めてはと思い見学させていただいたお礼を述べ最後に仏師の本作業周りを撮影させていただきました。

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京都の伝統工芸師の方々への取材も今回で三回目です。

毎回思うのですが、今回の仏師先生にもこころよく迎え入れていただきまして色々と教えていただき、あたたかい懐の広さを感じました。

ありがとうございました。

最後に【仏師先生にお願いをして手のひら】を見させて頂きました。

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なんとも言えない元気をいただく様なパワーを感じました。

こちらの手から作られた仏さまが、これまでにどのくらいの人々の心を癒しているのでしょうか?

想像するだけで感動をおぼえました。

記事のはじめ

京都仏師工房訪問記(1)ー 心地よい緊張の中で ー 碁盤の目のようになった京の町。 京の人に言わせば、「縦と横を座標軸のように考えれば大体、住所を聞いただけでそこまで行き着くことが出来る」(上がる、下が[…]

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※ 見学させて頂いた工房名・所在地・お名前などについて
一切お答えは出来ません。

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