法輪堂 拝観日記

『禅 ー心をかたちにー』展 京都国立博物館

京都国立博物館での特別展覧会『禅 ー心をかたちにー』を観せていただくことができました。

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後期展示期間で、「達磨像 白隠慧鶴筆(萬壽寺)」の展示は終わっていましたが、「十八羅漢像のうち羅怙羅尊者(萬福寺)」の迫力に圧倒されてきました。

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特別展覧会
臨済禅師1150年 白隠禅師250年遠諱記念
『禅 ー心をかたちにー』

2016年4月12日(火)~5月22日(日)
京都国立博物館

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第一章 禅宗の成立
第二章 臨済禅の導入と展開
第三章 戦国武将世近世の高僧
第四章 禅の仏たち
第五章 禅文化の広がり

 およそ1500年前、菩提達磨によってインドから中国へ伝えられたとされる禅宗。
その一派である臨済宗・黄檗宗の宗祖 臨済義玄(?~866)によって広がり、鎌倉時代にもたらされました。

 特定の経典を持たない禅宗では、その教えは言葉や文字によらず、師の心から弟子へと以心伝心で受け継がれてきました。その修業は坐禅を中心におかれますが、日常生活の行いやふるまいすべてがすべてが修行の一環として重視され、禅問答を通じた弟子の心の交流を経て、悟りの境地へと至ります。

 臨済義玄の没後1150年、さらに日本における臨済宗中興の祖である白隠慧鶴(1686~1768)の没後250年の遠諱を記念して特別展を開催。臨済・黄檗両宗十五派の協力のもと、禅僧の肖像画や仏像、書画、工芸など、国宝約20点、重要文化財約100点を含む約220点の名宝の数々が展示されます。


第一章:禅宗の成立


禅僧の初祖 達磨は6世紀の初め頃にインドから中国へ渡来し、その教えは慧可(二祖)を経て、慧能(六祖)へと伝えられました。
臨済義源は今日の臨済宗十四派および黄檗宗につながる宗祖となりました。

【重要文化財 達磨坐像】 京都・円満寺
【国宝 慧可断臂図 雪舟等楊筆】 愛知・齊年寺

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 【慧可断臂図】は、禅宗の初祖達磨が面壁坐禅中に慧可が彼に参禅を請うたが許されず、自ら左腕を切り落として決意のほどを示したところ入門を許されたという場面です。解説にもありましたが、お二人の表情はどのようなお心の状態なのか決めつけられないものがあります。


第二章:臨済禅の導入と展開

南禅寺を頂点とする五山派が全盛期を迎え、日本の社会に定着。応仁の乱は室町幕府の弱体化を引き起こすとともに、五山派の衰退をもたらし、大徳寺派や妙心寺派が勢力を拡大します。江戸時代に入ると黄檗宗が伝わります。各派の開祖ゆかりの作品をとおして日本へともたらされた禅宗の歴史を紹介。


【重要文化財 一休宗純像 自賛】 京都・酬恩庵
【足利義満坐像(部分)】 京都・等持院

見覚えのあるお顔での掛軸、酬恩庵の【一休宗純像】。室町時代の作品で、禅僧一休宗純(1394~1481)の自賛が書き込まれています。


第三章:戦国武将と近世の高僧


戦国時代の武将たちは禅僧に帰依して指導を受ける一方、参謀として戦略を相談をし、他の武将との交渉役を任せることもありました。
沢庵宗彭・白隠慧鶴・僊厓義梵は禅画を描き民衆に布教を行いました。白陰は臨済宗の中興の祖とされています。
戦国武将と禅僧の肖像画、近世の代表的な禅僧の遺品を紹介し、禅宗の広まりを通覧します


【沢彦宗恩像 自賛】 愛知・政秀寺 
【織田信長像(部分)】 狩野永徳筆 京都・大徳寺
【伊達正宗偉像】 宮城県・瑞厳寺

【白隠慧鶴墨蹟 寿字円頓章】 京都・円満寺 
【白隠慧鶴墨蹟 百寿字】 静岡・方広寺
【達磨像 白隠慧鶴筆】 大分・萬壽寺
【慧可断臂図 白隠慧鶴筆】 大分・見星寺
【関羽像 白隠慧鶴筆】静岡・松陰寺

 とても気になり「禅らしいなぁ。」と思った【円相像 沢彦宗恩筆 自賛】。画工に円相を描かせ、その円相の中心に自ら一点を加え、上部に賛を記し、これをもって自らの寿像としたというもの。丸と1点の空間と長い文章。「この円相が一切世界を包み込み、その中に生きる衆生の粟粒のごとき小ささを述べる」というものだそうです。

 白隠の今回の展示作品の中で印象に残ったのが【白隠慧鶴墨蹟 百寿字】。「寿」の文字をさまざまな篆体で百文字書いたもの。【寿字円頓章】が白隠らしくて憧れるところですが、【百寿字】は太い文字の次には細い文字というパターンできっちり整ってぎっしりとすべてちがう寿が詰まっています。白隠らしさとはちがう仕上がりがまた圧巻でした。白隠示寂前年の明治4年の正月の筆だそうです。


第四章:禅の仏たち


禅宗は、菩薩のような宝冠釈迦如来、修行者である羅漢、伽藍の守護神など禅宗特有の尊像があります。



【十八羅漢像のうち羅怙羅尊者】 范道生作 京都・萬福寺
【韋駄天立像 范道生作】 京都・萬福寺
【重要文化財 宝冠釈迦如来坐像】 院吉・院広・院遵作 静岡・方広寺


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 なんと言っても【羅怙羅尊者(らごらそんじゃ)像】は、スポットライトが当たってはいたものの、その存在感に圧倒されるものがありました。心には仏が宿っていることを自分の胸を開いてみせているのだそうです。

 同じく范道生作の【韋駄天像】は、木造で彩色・漆箔で全身が金色。衣の模様も細かくて色々素晴らしいのですが、手を合掌して下向き加減のお顔の表情とたなびく衣の動きに惹きつけられました。韋駄天は庫裏の守護神だそうです。

 仏像のお顔と言えば、院派仏師による【宝冠釈迦如来および両脇侍坐像】。宝冠もあり華がありますが、整った目鼻立ちに半眼のお顔がとても神々しい像でした。


第五章:禅文化の広がり



日本と中国を行き来した禅僧たちは、様々な風習や文物をもたらしました。水墨画や詩画軸(漢詩を備えた絵画)、喫茶などで、我が国の文化に大きな影響を与えました。

【重要文化財 椿尾長鳥文堆朱盆】 刻銘「張成造」あり 京都・興臨院
【重要文化財 龍虎図屏風のうち虎図】 狩野山楽筆 京都・妙心寺
【竹林猿猴図屏風 長谷川等伯筆】 京都・相国寺
【重要文化財 竹図襖】 伊藤若冲筆 京都・鹿苑寺

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伊藤若冲の「群鶏図」は若冲らしいものでしたが、「竹図襖」は、ユニークなタッチでした。

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狩野山楽の【龍虎図屏風】の虎。
博物館(平成知新館)前にある看板を、少し横から撮ると

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虎が立体的で見えました。

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狩野山楽の【龍虎図屏風】の龍は、入場券売り場近くで出迎えてくれていました。


臨済宗・黄檗宗 十五派本山

臨済宗建仁寺派の大本山 京都府京都市東山区 東山建仁寺
臨済宗東福寺派の大本山 京都府京都市東山区 慧日山東福寺
臨済宗建長寺派の大本山 神奈川県鎌倉市    巨福山建長寺(建長興国禅寺)
臨済宗円覚寺派の大本山 神奈川県鎌倉市    瑞鹿山円覚寺(円覚興聖禅寺)
臨済宗南禅寺派の大本山 京都府京都市左京区 瑞龍山南禅寺(太平興国南禅寺)
臨済宗国泰寺派の大本山 富山県高岡市     摩頂山国泰寺
臨済宗大徳寺派の大本山 京都府京都市北区   龍宝山大徳寺
臨済宗j妙心寺派の大本山 京都府京都市右京区 正法山妙心寺
臨済宗天龍寺派の大本山 京都府京都市右京区 霊亀山天龍寺(天龍資聖禅寺)
臨済宗永源寺派の大本山 滋賀県東近江市    瑞石山永源寺
臨済宗方法寺派の大本山 静岡県浜松市北区   深奥山方法寺(方広萬寿禅寺)
臨済宗向嶽寺派の大本山 山梨県甲州市     塩山向嶽寺
臨済宗相国寺派の大本山 京都府京都市上京区 萬年山相国寺(相国承天禅寺)
臨済宗佛通寺派の大本山 広島県三原市     御許山佛通寺
黄檗宗の大本山 京都府宇治市 黄檗山萬福寺  本尊は釈迦如来


 今回の特別展ではたくさんの僧や武将の知ったお名前が出てくるので禅との関係をまとめたかったのですが、この辺とさせていただきました。また何かの機会に。













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