法輪堂 拝観日記

ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち

『ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち』

  開催日時 : 2009年6月23日~9月23日
  開催場所 : 大阪市 国立国際美術館 

ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち1.jpg

ルーヴル美術館の7つの部門から選りすぐられた
「子ども」をテーマにした約200点の展覧会です。

子どもがテーマになっているということで
愛らしい子どもがたくさん観ることができると
勝手に思っていたのですが、さすがルーブル美術館展です。

絵画だけでなく、彫刻・古代エジプトのもの・
おもちゃやキリスト教をテーマにした作品など
様々の展示物を間近で観ることができました。

構成も、ただ子どもを表現しているのではなく
その時代の風潮や、親が子を想うおもい
そして子どもという存在を通して
生のはかなさや、家族像の表現を表現されているという
考えさせられる深い内容でした。

想像よりもはるかに奥深く興味深い
充実した時を過ごすことができました。

ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち2.jpg

 第1章 誕生と幼い日々 

  妊婦像や、乳飲み子を胸に抱く母親のものから
  展示は始まりました。


 第2章 子供の日常生活 

  前2世紀半ばの〔息子を教育しよう〕は、
  大変薄くした細い繊維のような木を縦横に織物のように1枚となった上に
  インクで息子への教えが書かれています。

  書かれた内容は、
  「中傷する 罵倒する 悪い交際関係をもつ
  既婚女性に関心を示すなど、
  自分自身が罰せられることになるような行いを
  慎むように注意されています。」


 第3章 死をめぐって 

  か弱い子どもという存在は、「生のはかなさ」を表現されます。

  ラメセス朝時代の〔少女のミイラと棺〕では
  棺自体が亡くなった少女が衣装を身にまとった生前の姿であり、
  棺の横側には神々が描かれています。

  また、〔少年のミイラマスク〕は、
  ミイラの上に置かれるもので生前の少年の前半分の頭部から上半身です。
  右手には個人の死後の幸福を保証する救いの冠を持っており、
  左手にはパピルスの巻物を持ち哲学者や演説者として表されています。
  早くにして子を亡くした親の無念な思いや哀しみ、
  生きている美しい姿で飾りたいと思い
  子のその後も幸せを願い続ける心を感じが伝わってくるようでした。

  複雑な気持ちになり印象に残ったのは、
  ローマ帝政期の〔子どもの石棺の断片〕
  裸体で有翼のアモールが戦車競走を競っている図像で、
  レリーフのようになっています。
  よく見ると、馬車から落ちたアモールが
  うつ伏せ、あおむけに倒れているのです。
  それが、早く中断することになった競争が、
  人生のはかなさになぞらえているそうです。
  それが石棺であることを考えると、
  何とも言えない取り合わせというかなんと言うか・・・
  複雑です。

  〔無垢〕 ジャン=バティスト・ルイ・ロマンは、
  髪を上の方で一つにまとめた少女が、岩にゆったり座り
  手のひらに乗せたトカゲを眺めている大理石の像です。
  少女の純粋な神秘的なものが伝わってくる
  身体のラインも滑らかな自然で美しい印象に残った像でした。
  大理石の色と質感が、少女の美しい神秘的な美しさを
  際立てているように思いました。

  〔生のはかなさの思い〕 ストラスブールは、
  4歳で亡くなった長女パルミルが、
  湖のそばで木製のベッドに腰かけ古代風の墓に肘をついています。
  パルミルの上には蝶が飛び、足元には花びらが散らばっています。
  死を思わせるものが画面にいくつも表現されているのですが、
  真ん中の少女パルミルは、幼い身体というだけでなく
  肉付きも皮膚の色艶も、大変健康的に見えるだけに
  涙を誘われました。

  〔小さな赤頭巾〕 フルリー=フランソワ・リショールは、
  シャルル・ペローの有名な童話「赤頭巾」の
  赤頭巾ちゃんを先回りして、おばあさんを食べた狼が
  おばあさんのベッドでおばあさんのふりをしている前で、
  赤頭巾ちゃんがベッドの足もとに立っている場面です。

  薄暗い部屋に窓からの太陽に光が差し込み
  残酷にも赤頭巾ちゃんの足もとには、
  食べられたおばあさんの洋服が散らばっています。

  おばあさんだと思い込んでスクッと立っている姿から
  とてもけなげな純粋なものが伝わってくるだけに
  余計に不気味さや緊張感があります。

 第4章 子どもの肖像と家族の生活 

  こちらの章では、子どもの肖像画・家族の肖像画
  ・素描・胸像などの展示ですが
  子どもならではの動作であったり、表情であったり
  ぷっくりしたほっぺや口元の表現が素晴らしいものばかりでした。
  子どもを愛おしい存在として想う人ゆえ
  できる表現の数々ではないかと思いました。

  魅力いっぱいの章でしたが、この章で他の展示とは違った意味で印象に残ったのは、
  磁器に絵付け、彫金細工が施された枠に嵌め込みの
  〔ルイ・ド・フランス(ルイ17世)の肖像〕 ヴィクトワール・ジャコトは、
  ルイ16世と王妃マリー=アントワネットの息子です。
  幽閉される2か月前に描かれたそうですが、
  間違いなく王族の方であるというような容姿・雰囲気が表現されていました。
  王太子の運命を思うと、なおせつなくなるようでした。

 第5章 古代の宗教と神話の中の子ども 

  古代の人々は子どもの姿をした神々の存在を信じていました。

 第6章 キリスト教美術のなかの子ども 

  画家と彫刻家たちは、幼子イエスを好みました。
  聖母マリアの胸に抱かれる図像から
  愁いを帯びる聖母マリアの眼差しにより
  幼くして受難を宣告されたイエスの悲劇的な運命を彼女が知り
  受け入れることを示しているからです。

  下に貼りました写真の看板にもあります絵画
  〔聖母子と聖ステパノ、聖ヒエロニムス、聖マウリティウス〕は、
  マリアとイエスのお互いを見つめるまなざしと
  伸ばした指先からいろんなことが物語られているように思いました。

 第7章 空想の子ども 

  空想の子ども。
  それは、ぽっちゃりした有翼の子どもの姿で表され、
  文脈によってプット―、小天使、あるいはアモールと呼ばれます。

  一番最後の展示を飾るのが、

  〔アモールの標的〕 フランソワ・ブーシェ
  268×167cmという圧倒されるような
  大変大きなサイズの油彩ですが、
  タピスリーの原画とのこと。

  宙に居る天使のようなアムールが月桂冠を持つ両手を上にあげている下に
  ピンクで描かれたハートに矢が刺さっているという
  よく目にする絵画です。

  愛らしいアムールと木の緑と空の青に、
  白の雲、ハートの的に目がいって
  どんな内容の絵なのか考えてもみませんでした。

  説明書きを読んでみると、ただ可愛い絵ではなく
  「正しい道徳では忠実な愛は一度しか与えられない」
  ということで的の真ん中に刺さっている矢は1本で
  刺さらなかった矢は土の上でアムールが矢を燃やしています。

  ポンパドゥール侯爵夫人のお気に入りの画家だったとか。
  絵画に使われる色彩(特にピンク色と水色)が
  ポンパドゥール侯爵夫人らしい感じを受けます。

ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち3.jpg

出口付近に、新聞の記念号外があり

「芸術は、余暇を楽しむだけのものではありません。
人間にとって、『必要』なものなのです」

とのロワレット館長の言葉がありました。

まさにそう感じた展示内容でした。


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